読書とか日記

読んだ/見たときの感想と日常です。

骨と十字架

YouTubeでの期間限定公開で視聴。

いい芝居だった。

観念的な言葉の濁流のような長台詞の応酬を「会話」として成立させて緊迫感を生み出せる俳優さんたちと演出の力量が気持ち良い。

脚本も硬派でしっかりしている。

 

これは個人の信念と組織の話であって信仰の話ではなかったなと観ながら気がついていくらか残念だったのですがそれはたぶん私の期待値設定の間違いだろう。

創世記は比喩であると言える人が北京原人の骨掘ったからと言って信仰に問題は発生しないしこの作品もそういう表現はしていない。

 

神学についてのスリリングさとかもとくにないのでそれも…まあダ・ヴィンチ・コードの映画にも同じがっかりをしたのだが、骨と十字架の方が作品として硬派でした。ダ・ヴィンチ・コードの原作は読んでないのでわからないが映画は普通のエンタメ活劇だったのであれは宣伝が悪い。

 

それぞれの立場でのどうしようもなく動かしがたい「私」と「私」の相克を見せてもらう作品として骨と十字架面白かったです。

 

蛇足ですが信仰についての作品として「沈黙」やっぱり濃いな…と思いました。本当に傑作なんだけど体力が必要なのでなかなか読み返せない。

ヨブ記もそうだし信仰というのはごく個人的な、実体験としての不幸によってこそ向き合わされるものなのだろう。

 

神学を扱った作品でその扱い自体がスリリングで面白かったのは薔薇の名前(こっちは原作)で、難しいのに面白い!と興奮した記憶だけあるが読んだのが昔すぎて細部はあんまり覚えていない。