読書とか日記

読んだ/見たときの感想と日常です。

華氏451 感想メモ

ネタバレありだいたいネガティブな感想

お好きな方には申しわけない、2024年に初めて読んだ一個人の感想です

 

以下読みながらのメモですが昔の本に対してフェアじゃないという自覚もあるので壁打ちそのままではなく一部控えめに編集しました

 

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名作だと聞いていて、良い読書体験ができるぞとうきうき読み始めたら女性の描き方が相当前時代的だった(率直に言うと今の感覚だとちょっと気色悪かった…)ので期待値とのギャップでがっくりきた。実際古い小説なので仕方ない、70年くらい前の本だからね。

 

 

いや、もしかしてこれ気持ち悪い人物として主人公を書いてるのかな、だったら納得はできる

 

一応頑張って通読してみるか〜

 

 

私が高校生の頃はまだ学校で『破戒』を名作として読ませていたものだけど今考えたらあれも気ぃ悪い話ですからね

 

 

我慢して華氏451読んでるけど

なんで女は無垢で無邪気で無力な少女か

無教養で無関心で愚かな妻なんだよ

二重のディストピア

 

作者の意図するテーマに関しては現代にも通じる鋭さがあるのでそのぶん無意識のステレオタイプが読んでてきつい

 

まあ七十年前なので

 

 

華氏451

衆愚的な空気の終着点として本が燃やされているという設定なのね

マイノリティについて無配慮ではいけないという流れを「触れてはいけない」ものと単純化言論弾圧と一体のものとして描写している

ふーん

 

 

関係性を築くことができなくてそれは双方の責任なのに窮地に巻き込むときは愛に訴える男嫌じゃない?

 

 

今戦争中だと判明する構造は良かった

一面にテレビになった壁とそこに映る非実在の「家族」は現在のSNSや動画配信を想起させて面白いなめちゃくちゃ先見の明があったなと思う

 

 

これ絶対うまくいかなくて破滅するやつだ、という計画が立ち上がりつつありここまでの憤懣はさておき読んでて辛い

 

 

なんかもうラストまで飛んでバッドエンドを確認してから過程を読みたいな…

 

 

帝王切開(というかこの文脈では無痛分娩と同義)にも批判的でいらっしゃる

はは〜ん?

 

 

無痛分娩が存在しない時代に無痛分娩を批判できる先見性はすごいんだけど価値観が女に対する抑圧なのですごくない…

 

 

 

概念ヒロインのキャラクター造形が一番厭

十七歳で無垢で本質的なことをなぜか見抜いているが天真爛漫に疑問を口にするだけで大人や政治を批判するわけでもなく常に機嫌が良く隣に住んでる30歳の男を初対面から気に入って毎日話しかけてくる少女

 

都合良すぎるだろ作者に

 

(そして序盤でいつの間にか死んでいる)(イメージだけで存在し実際に何を感じ考えていたかはストーリーに必要ない)

 

 

まだ半分残っている

 

 

女性作家の作品に出てくる理想化された男性も男性作家の作品に出てくる理想化された女性もそんなもんだろうと思ってあまり苦にせず読めるほうなんですけど

華氏451の女性像がなんでこんなに厭なのかと考えてみる

 

たぶん「社会の話」として書かれているSFなので、社会は本質的に男が担うものという作者のスタンスがあからさまに見えてしまうからかな…

 

 

主人公が川を流されて逃げたあとの「農場の納屋の2階に隠れる自分とあの子に似ている美しい少女がなぜか逃亡者のため置いてくれる林檎とミルクの妄想」最大限に気色悪い

 

 

白人インテリ男性ボクの考えた「解」

はいはい

 

 

華氏451読了

歯を食いしばって最後まで読んだ

 

全然おもしろくなかった!

興味深いという意味では面白い部分もいろいろあった

 

主人公が捕まって死んで終わるのだろうと思ったらそうじゃなくて愚かな社会のほうが無視していた戦争によって崩壊するという終わり方はある種前向きで意外性があった

それでいいのかというのはさておき

 

 

昔の基準でたしかに名作だが今読むと欠点が大き過ぎて楽しみづらいのでおすすめはしない作品リスト※に追加

 

※無論個人的なカテゴリー。続あしながおじさん(優生主義のため)コータローまかり通る(セクハラに肯定的なため)などが分類されている

 

 

余談:滅んだ文明の書物を口伝で伝えつつ放浪する集団の出てくる文明崩壊後SFは面白そうだなと思いました

記録のみ保存されつつ社会的な文脈は変容しているやつ