上映終わりそうなのでやっと観てきました。面白かった、観て良かった。
真人の硬い姿勢と頭の下げ方を見るだけで
この子は礼儀として返答しているけど心の中では全然納得してないんだな、母親の死から後のことすべて拒絶しているが気が弱いからではなく育ちがいいので拗ねた態度はとらないでいる、というのがわかるのですごい。
全体に児童文学的で好きだった。
君たちはどう生きるかの本を読むくだりとか
若い幼いひとたちに善であり希望であるものを渡したいという気持ちがわりとストレートに出てていい年の人間として共感した。
いや、好きなものを選んで育ってくれて良いんだけどでも大人がくだらない悪を押し付けてこれが現実だよなんて開き直ることはしたくないんだよ。
夏子さんの登場シーン
美人できちんとしてそうなんだけど反射的に「キモッ」と感じて
母さんにそっくりとかモノローグで言うから(なんかごめん…)って思ったけど、
そのあとお父さんが馴れ馴れしくて
こいつ…死んだ嫁の妹と再婚か?と察したりしつつ
夏子さんが真人の手をとってお腹を触らせて弟か妹がいるって教える場面が生々しくて、
あ〜、気持ち悪いって思わせたのわざとだったか〜って感服した。
短いシーンに、そう感じさせるなにかが、動く絵の中にちゃんとあったのだ。
そしてこのお腹を触らせるシーン自体は衝撃はあるけど気持ち悪さを演出してはないんだよね。
主人公に共感してるから観客の主観としてはエグいんだけどしかし描写として「妊娠が気持ち悪いこと」という導線は引いてない。
そこが偉いと思いました。
アニメ映画は少人数で作るものじゃないし少人数に届けばいいものでもないからそこに万人のための物語がないと強度がたりなくなるけど、宮﨑駿監督はこういうイメージの集積のようなスタイルでも多くの観客を巻き込める力があって強いなと思った。イマジネーションは濁流のようでありつつ土台の堅牢さがある。
(イメージの集積という点で似ていたので押井守監督の天使のたまごを去年配信で観て「これにストーリーがあったら名作になっただろうなあ」と思いながらそれなりに楽しく鑑賞したのをちらっと思い出しました。)
足音が耳に残って印象的だった。これは映画館で見たからなのかもしれない。